システムの「導入効果」と「準備期」

電子カルテから経営データを作る

                                 [目次]
はじめに
ECSRの視点でシステムの「導入効果」を考える
電子カルテの導入準備

はじめに

電子カルテなど病院のシステム化が全国的に進み、導入が一般化してくると、システムの「導入」よりも「活用」が重要になっていきます。例えば、電子カルテの活用を考えると、「導入後にどのような状態になるか」のイメージの共有が必要となります。つまり、事前にシステム対効果を明確にしておくことが大切なのです。このイメージの共有が十分でないままに導入を進めると、「こんなはずではなかった」「思っていたイメージと違う」といった声が出て来るのは当然のことです。

 この理想と現実のイメージの差を埋める方法として、同規模同機能の「病院に見学に行く」ことが一つの方法です。その際、質問事項を病院内であらかじめ練っておくことが大切です。見学することよりも、実際に導入する前と導入した後にどんな変化があったのか、導入する過程でどんな困難があったのかは知りたいところです。

また、電子カルテの導入を多く進めてきた「システムコンサルタント」に、部門ごとにレクチャーを頼み、不安点を事前に解消しておく方法も一つの方法です。その際に多く質問に上るのが、「現在の運用」と「システム導入後の運用」はどのように異なるのかという具体的な不安です。この不安を事前に解消しておくことでイメージが共有できるのです。

ECSRの視点でシステムの「導入効果」を考える

電子カルテの選定において、なぜ電子カルテなどシステム化を進めるのか、期待する効果を明確にしておく必要があります。システム化の効果として「業務の効率化」が挙げられますが、「ECRS」の視点で考えると良いでしょう。

「ECRS」とは、業務改善を実視する上での、順番と視点を示したもので、システムの導入現場でよく使われている考え方です。ECRSは、Eliminate(排除)、Combine(結合)、Rearrange(入替え)、Simplify(簡素化)の頭文字をとったものです。業務改善の際に、ECRSで考えることで、過剰や過小な改善が避けられ、不要なトラブルも最小になることが知られています。

Eliminate(排除)は業務の改善を考える際、最初に検討すべき視点です。システムを導入することで業務自体をなくしてしまうこと意味します。例えば、自動精算機を導入することで、精算に関する作業がなくなることで、それに割かれていた時間と人員が削減できます。システム導入で現在行っている作業を無くすことは明確な効果が測定しやすいため最初に検討したい内容です。

次に検討すべきはCombine(結合)です。類似の業務を結合し集中化することで、効率化できるものを指します。例えば、電子カルテとレセコン、そして部門システムの連携を行うことで、電子カルテに入った情報を様々な部門で閲覧、活用ができ効率化が図れます。

Rearrange(入替)は、作業順序、作業場所、担当作業者の入替等を変更する視点です。システム化に合わせて行われる業務フローの見直しが、これに当たります。業務フローを見直すことで、ムダムラが減少します。

最後に検討すべきはSimplify(簡素化)です。実際の業務を測定・分析し、簡素化・単純化できるものです。具体的には、インプットとアウトプットを対にしてシステム後の業務の見直しを行います。システム導入後のシミュレーションを繰り返すことで明確になる部分です。

電子カルテの導入準備

電子カルテの選定は慎重に進みますが、ひとたびメーカーが決定した後は、案外ベンダー任せになりがちです。実は、この導入準備期こそ、システム活用において重要なのです。

その際の注意点としては、まず「紙カルテ運用と電子カルテ運用の違いの共有化」ができているかを確認します。先にも上げたように、この部分をおろそかにすると、イメージの違いから、実際の稼働時に不満が出てきてしまいます。

次に、システム導入を進めるうえで「誰が院内調整をし、誰が決定するのか」をあらかじめ決定しておいて欲しいのです。全体像が見えている担当者が常に情報を集め、意思決定をサポートする仕組みが大切です。

また、実際に導入が始まると、スケジュールの変更がよく起こります。これは事前に準備作業の洗い出しが十分にできていないことが原因です。スケジュールを引く際、誰が責任をもって締め切りまでに様々な資料を用意するかを指示する必要があります。都度都度の指示では、現場はどうしてもスケジュールを守りにくいのです。

最終仕上げとして、シミュレーションが行われますが、できるだけ早めに最初のシミュレーションを行い、そこから現場のフローに合わせた修正を行っていくことをお勧めします。一度のシミュレーションでうまくいくことはほとんどありません。繰り返し行うことを想定してシミュレーションの日程を設定しておけばよいでしょう。